原文:Owen’s a Win - Trigger Troubles
http://www.channelfireball.com/articles/owens-a-win-trigger-troubles/
9月に変わった誘発忘れのルールについてOwenから問題提起。
Jackie Leeの件といい、ちょいちょい摩擦が起きてますね。
MOばっかりやってるプレイヤーはたまのリアルで誘発忘れないように気をつけようね(震え声)




 GPサンアントニオから帰ってきて、私はRedditのとある投稿に心を痛めることとなった。投稿とはGP2日目初戦についてのもので、その対戦相手の意見がここで読める(リンク:http://www.reddit.com/r/magicTCG/comments/13t4zt/advice_from_someone_who_made_day_2_of_gp_san/?sort=confidence)。[訳注:リンク先要約。僕は1998年からマジックをやってて、今回運よくGP2日目に進めたけど、こんなルールになっているなんてちっとも知らなかった。全くプロと対戦するときは気を付けた方がいいね]

 私はこの2週間記事に書いていたバントをプレイしていて、対戦相手のデッキは赤単だった。1ゲーム目を私が先取し、2ゲーム目の出来ごと。彼は《紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf》と《灰の盲信者/Ash Zealot》で攻撃し、私は少しの間待った後、彼の《紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf》を《ボーラスの占い師/Augur of Bolas》でブロックした。

 対戦相手は狼の誘発を宣言することなんて全く頭になかったか、あるいは少なくともそれを宣言し忘れたので、従って新しい誘発型能力のルールの下ではその誘発は起こらなかったものとして扱われる。彼は私に対して1体ではブロック出来ないと指摘し、私はそれに対して反駁し事態を面倒なものにする前に速やかにジャッジを呼んだ。ジャッジがやってきて、私と対戦相手は起こった出来事――彼が攻撃を宣言し、しかし狼の誘発については宣言せず、そして私がブロックに入った――について互いに同意を得た。ジャッジはテーブルから離れ、別のジャッジとしばし相談した後戻ってくると、「攻撃とブロックの間に他のいかなるアクションも差し挟まれていないので、ゲームを巻き戻し、誘発をスタックに乗せる」との裁定を下した。ここで私は上告することになる。

 上告したのは、誤った裁定が私に向けられていると感じたからだ。そのジャッジは必要と思われる質問や、目に見える事柄以外についての追究をしようともしなかった。思うに彼は「プロが相手を騙そうとしている」と頭から決めてかかっていたのだろう。

 ヘッドジャッジであったJason Lems がやってきて、最初から話をやり直した。対戦相手は実直に主張をし、誘発能力について宣言しなかったことも認めた。私はそれについて補足し、彼が攻撃してから何も言わないのを「30秒待って」からブロックに入ったと伝えた。

 言うや否や、私は対戦相手からもヘッドジャッジからも誹りを受ける。ヘッドジャッジは「30秒とはいくらなんでも出鱈目だ」とさえ言った。これに関してはその通りで、私はそれは文字通り30秒という意味ではなく、ただ彼が攻撃してから何も宣言せず私に次のアクションを取ることを期待して待っているのだろうと判断するに十分な時間を待って、従って彼が誘発を宣言する隙も与えずにブロックに入ったのではないと言いたかったのだ、と伝えた。

 深く考えもせずに放った一言について説明するのは自分でも馬鹿らしかったが、私とてマジックプレイヤーの端くれであり、時には自分の主張を印象づけるために表現を誇張してしまうこともある。私の訂正はヘッドジャッジにその意を汲まれ、最終的には私の想定していた通りの裁定が、信ずるに想定していた通りの理由によって下されることとなった。

 このゲームはGP2日目に行われているものであり、RELはプロで、ヘッドジャッジは裁定に際し対戦相手に、「全てのプレイヤーは誘発させたい全ての誘発型能力について宣言しなければならない」とスピーカーでアナウンスしたことを確認した。裁定には全く関係ないだろうが、このブロックは直ちにゲームを終わらせるものでこそないものの、その趨勢を決定づけるに十分なものであった。

 私は何も悪いことはしておらず、ただルールに従い適切な戦略を取ったまでだ。もし誘発を忘れたのが私で、対戦相手がそのことについてジャッジを呼んだのだったとしても、私はそのことについて対戦相手を悪く思ったり怒ったりすることはなく、怒ったとしてもそれは事態を招いた自分に対してであろう。

 何度も言っているように、私はこの新しいルールを好まない。対戦相手の誘発の宣言忘れに目を光らせ、それを指摘することによって変わってしまうゲーム展開を描くようなことは好まない。

 一方で私は、そのルールが何であろうと、そのルールについてどう考えようと、ルールに従ってプレイするのは非常に重要なことであるとも思う。誘発が明らかで、宣言するのは馬鹿みたいだからと言って、その宣言を省略することは認められるだろうか? 皆が従うことによってルールはルールとしてはたらき、全ては公正の下に保たれる。

 ダメージスタックについてのルールが変わった時も、多くの人がはじめは混乱し、ときにイライラしたものと思う。新しいダメージルールはそれまでの習慣と全く異なることを要求したのだ。しかしそれでも、結局は我々皆がそのルールに適応したし、ルールの変更について怒っていたのも今では笑い話だ。目下私は細心の注意を払って誘発を宣言するようにしているし、対戦相手の宣言忘れは常に指摘できるよう身構えている。こんなのは本当に嫌なことだが、しかしルールが変わるか我々皆が慣れるかするまでは、それがただ在るべき在り方だ。皆が誘発を正しく宣言すれば、ゲームは正しい状態に保たれるし、誰も何も心配するようなことはない。

 正しく理解している相手との間であれば、このルールが良いものとしてはたらくこともある。例えばその対戦相手が兵士トークンをフィールドに出すのを忘れたり、祭殿にカウンターを置くのを忘れたりしたとき、彼は言うべきことを言わずゲームをダメにしたことに気づきうなだれるであろう。そういったケースではこのルールは想定された通りにはたらいているのだろうが、しかし《紅蓮心の狼/Pyreheart Wolf》で攻撃した対戦相手が誘発について宣言するべきことを知っていないか、忘れているかどうかにもっぱらの関心が集まるような事態は、双方にとって愉快なものではない。現行のルールではこれらの例の間に定義づけるべき境界がなく、また(ゲームが複雑すぎるがために)それらを定義づけるようなルールを作ることは基本的に不可能だということは実に遺憾だ。

 PTの3ラウンド目で、私の対戦相手がボブの誘発を忘れたことがあった。彼はジャッジを呼び、やってきたジャッジは誘発を今改めてスタックに乗せたいかどうかを私に尋ねた。私がNoと答えると彼はただ去っていった。なんと奇妙なことかと思った。しかしヘッドジャッジに上告しても、得られた回答はほとんど変わらなかった。曰く、「ボブの誘発はbeneficial triggerだ、だってそうじゃなきゃ誰が2マナ2/1なんてデッキに入れるんだ?」と。
 これには同意しかねた。どうしてボブの誘発がbeneficial triggerだなんて断言できる? もしあなたのライフが15ならおそらくそうだろう、しかしそれでもデッキにエムラクールが入っていてしかも既に勝っている盤面にあったとしたら? ライフ20では間違いなくbeneficial triggerで1では間違いなく違うかもしれないが、では8だったら? それは誰が決めるんだ?

 この誘発忘れによって対戦相手が警告を受けなかったというのも問題で、というのも別に私が自治気どりのルール厨でいつだって対戦相手に警告を与えたがっているからではなく、もしボブの誘発がbeneficial triggerで忘れても警告を受けないのだったら、私のライフが1でボブがフィールドにいる盤面にあっては、それでは誘発を毎ターン常に無視し続けるのが正着となるからだ。

 私が何回誘発を忘れたかなんてどこにも記録されないことになってしまうし、そしてもし相手が指摘を忘れればそれは私の誘発忘れ得になる。ルールには故意の誘発忘れはチートになるとあるが、警告の記録もなしにどうやってそれが故意に行われていると証明できるんだ? そのためにこそマジックのルールには警告が存在するというのに。現行のルールの下では、ボブをコントロールしていてライフが1であるプレイヤーは、よほどのことがない限り常に誘発を忘れ続けるべきだということになってしまう。これは明らかに、ルール改正によって意図された事態ではないだろう。

 残念ながら私はルールの修正案を持ち合わせていないし、このルールに変更された理由――対戦相手に自分を殺すよう指摘しなければならないという理不尽さの排除だ――も理解している。こういった事態には私自身何度も遭遇したことがあり、最も印象に残っている例では、イニストラードリミテッドのGPで対戦相手の《セルホフの密教信者/Selhoff Occultist》の誘発について指摘し、そうするたびに彼は「おっと! うーん、じゃああなたのライブラリーを削るよ!」 ……ああその通り、それが20回繰り返され[訳注:さっそく誇張しててちょっと笑った]私はライブラリーアウトで負けた。彼はセンスの欠片もなくほとんどランダムにカードをプレイしていたが、私のアシストもあって勝つことができた。

 別の例では、私が対戦相手の誘発を指摘しなければならないルールに縛られていなければ5であったはずの祭殿のカウンターが最終的には13まで増殖することとなった。こういったことを指摘しなくて済むようになるのは好ましいが、しかし先立ってのボブの例や、正しいゲームの下では起こり得ない事態の展開を認める点ではこのルールを嫌いだ。

 GPシカゴ2009で、Brian KowalはTop8に入り、そしてQFの3ゲーム目でボブの誘発をあまりに多い回数忘れたために勝てていたゲームでゲームロスを貰った。トーナメントの終わりとしては余りに情けない。悪意あるチートではなく、ただカードのはたらきを忘れたことに対してジャッジが介入し罰する事態には、誰も幸せにはならない。

 ルールが作られた理由を知っているジャッジの方がこれを読んだなら、トーナメントプレイヤーがそれについてどう思っているか参考にして欲しい。ルールについての良い部分んと悪い部分、そしてその理由も。

 私が正しいか間違っているか、コメント欄にどんどん意見を寄せてほしい。活発な議論が交わされれば、あるいは改善点を見いだせるかもしれないしね。



追記。beneficial trigger って一般的に日本語でなんて言うんだっけ?

コメント

ゆうたろ
2012年12月4日6:11

記事へのコメントピックアップ。


――ヤバい、新しいルール超ヤバい。誘発忘れ利用しないのはバカみたいだし、かといって利用すると悪いことしてるみたいな気分になる。ウケる(LSV)


――ジャッジ的にはすごい楽。忘れたら起こらない。それだけ。シンプル。プレイヤーにとっても簡単な話じゃない? 前のルールはめんどくさかったよ(名もなきジャッジ)


――KenjiやChapinやFinkelが同じ状況にあって1体で狼ブロックとかすると思う? お前はそんなんだから一生童貞なんだ(名もなきプレイヤー)

bun
2012年12月4日10:09

訳乙です。
誘発忘れうんぬんはルール変更時に日本でも話題になりましたね。
個人的にはルールはルールとして受け入れて順守すべしと思いますがLSVのコメントにあるように、なにか悪いことをしているような気分になるのも確か。
相手にこう言う思いをさせないためにもきちんとしなくちゃいけないですね。

ゆうたろ
2012年12月4日14:35

いやはやほんとに。
勝手に誘発してくれるMOばっかりやってるので今週末のGPが怖いです。

ゼノ
ゼノ
2012年12月4日15:26

LSVのコメが的を射てるねw
店舗大会とかだったら普通に相手が賛美忘れてても賛美ですよね?って確認するけどGPではどうするかねー。
まあまずは自分がきちんとすることですね。

ゆうたろ
2012年12月4日21:46

ほんとに自衛大事。



ボブの例について、今の方針で行くなら「対戦相手のコントロールする対戦相手自身に不利益な誘発の管理もあなたの責任、ちゃんと誘発させるのは技術」くらいしか落とし所がないんじゃないかなって思った

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